墓じまいで離檀料を求められたら|国民生活センターの相談事例と、話し合いで確かめること・相談先

この記事のまとめ

  • 離檀料に明確な基準はなく、金額に納得がいかないときは、基本的には寺などと話し合うことになると、国民生活センターは案内しています。
  • 国民生活センターの相談事例には、300万円ほどを求められた80歳代女性、過去帳に8人の名前があるとして700万円と言われた70歳代女性などが載っています。
  • 月刊「国民生活」2025年12月号の寄稿は、請求の背景に、長年連絡のないまま管理されてきた墓を突然墓じまいすることへの感情的な軋轢がある例も珍しくないようだとし、払えない額なら根拠と額を寺に尋ねる、檀家総代や親族に確かめる方法を挙げています。
  • 改葬許可の申請には、墓地の管理者が作った埋蔵などの事実を証する書面が要ると、墓地埋葬法施行規則が定めています。
  • 分からないことは、消費者ホットライン188(お住まいの自治体の消費生活センター等につながる)に、法律の判断は法テラスの案内を通じて弁護士などに相談できます。

墓じまいを寺に申し出て離檀料を求められたとき、公的な資料が示している道筋は、金額に納得がいかなければ寺と話し合い、分からないことは消費者ホットライン188などの窓口に相談する、というものです。国民生活センターは、離檀料に明確な基準はないと案内しています。この記事では、国民生活センターの相談事例と件数、月刊「国民生活」の寄稿に書かれた話し合いの進め方、相談先を、確かめた範囲で整理します。離檀料を払う義務があるかどうかの法律上の判断は、この記事ではしません。離檀料の相場も、公的な資料に示されていないので書きません。

墓じまいの手順全体は、墓じまいの手順を7段階でにまとめています。この記事は、その中の離檀料の部分を掘り下げたものです。

国民生活センターに届いている相談

国民生活センターが公開している「墓・葬儀サービス」のページによると、PIO-NET(全国の消費生活センター等から集まる相談情報)に登録された、墓に関する相談の件数は次のとおりです(2026年7月31日更新のページ。件数は2026年5月31日現在で、消費生活センター等からの経由相談は含まない)。

年度 墓に関する相談件数
2023年度 1,046件
2024年度 1,018件
2025年度 1,077件

この件数は墓に関する相談全体で、離檀料だけの件数ではありません。同じページには、墓じまいと離檀料に関する事例として、次の2つが載っています。

2022年6月28日発行の見守り新鮮情報 第424号「墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意」には、さらに具体的な事例が載っています。

これらは相談者が寄せた内容で、寺側の言い分や、実際にその額が支払われたかどうかは資料に書かれていません。「こういう相談がある」という報告として読み、自分の場合の額が高いか妥当かを決める材料にはしないほうがよいでしょう。

国民生活センターが案内している基本の対応

第424号の「ひとこと助言」は、次の内容です。

つまり、国民生活センターは「払わなくてよい」とも「払うべき」とも書いていません。基準がないことを認めたうえで、寺との話し合いと、相談窓口の利用を勧めています。

寄稿に書かれた、請求の背景と話し合いの進め方

月刊「国民生活」2025年12月号に、公益社団法人全日本墓園協会の専務理事による寄稿「墓じまい(廃墓)をする場合の留意点」が載っています。筆者の見解を含む文章なので、判断の材料の一つとして読む前提で、離檀料に触れている部分を整理します。

請求の背景として挙げられていること

寄稿は、寺院が離檀料を請求する背景を、次のように書いています。

寄稿は、檀信徒が減るという寺の事情と、寺が墓を管理し続けてきた一方で使用者側からの連絡が途絶えていた経緯の、両方に触れています。

払えない額のときに挙げられている方法

寄稿は、仮に支払えない額であれば、次の方法を挙げています。

  1. 寺院との話し合いで、離檀料が生じる根拠とその額について尋ねる
  2. 話し合いと並行して、その金額が寺院の慣習として適正な額かどうかを、檀家総代や、同じ寺院の檀信徒になっている親族などに確かめることを検討する

また、筆者は、離檀料は今までお世話になったお礼として、ある程度の金額を支払う気持ちがあるなら支払うべきだと考える、とも書いています。これは筆者個人の考えで、法律上の義務を述べたものではありません。同じ寄稿には、法律的には遺骨の所有権は使用者(祭祀主宰者)にあるが、法律論ばかりを振りかざして寺院との関係を視野から外すと、新たな問題が発生する可能性もある、という趣旨の記述もあります。

親族が残る場合の注意

寄稿は、親族がその寺院の檀信徒として残る場合に、経緯を顧みない墓じまいをすると、残された親族が寺院内で難しい立場に置かれることが考えられる、と述べています。話し合いの前に、ほかの親族がその寺とどう付き合っているかを確かめておく意味があります。

話し合いの前に確かめること

ここからは、上の資料に書かれていることを、確かめる順番に並べ直したものです。

確かめること 根拠にした資料
墓地の使用契約や規約に、離檀や返還について書かれているか 国民生活センターの相談事例(規約などの定めがなく根拠が分からないという相談がある)
請求された額の根拠と内訳(何に対する額か) 寄稿(根拠とその額を尋ねる)
その寺と付き合いのある親族、檀家総代の意見 寄稿(慣習として適正な額かを確かめる)
墓じまいの後も寺に残る親族がいるか 寄稿(残った親族が難しい立場に置かれることが考えられる)
長年の無連絡など、寺との行き違いの元になりそうな事情があるか 寄稿

規約に離檀料の定めがあるかどうかが、支払い義務の有無にどう影響するかは、法律の判断になります。この記事では判断せず、後の「相談先」の窓口に委ねます。

改葬許可と、寺の証明書の関係

離檀料の話し合いが長引くと、墓じまいそのものが進まなくなることがあります。国民生活センターの事例にも、手続きが進まないという相談が載っています。ここで関係するのが、改葬許可の申請書類です。

墓地、埋葬等に関する法律の第5条は、改葬を行おうとする者は市町村長の許可を受けなければならないと定めています。許可を出すのは、遺骨が現にある地の市町村長です。厚生労働省令である施行規則の第2条第2項第1号は、申請書に添付する書類として、墓地または納骨堂の管理者が作った、埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面を挙げています。続けて、これによりがたい特別の事情がある場合は、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面でよいとも書いています。

月刊「国民生活」の寄稿は、この点について、次のように書いています。

ただし、寄稿が想定しているのは、主に古い墓や管理者が明確でない墓の場合です。離檀料の話し合いがまとまらないときに、寺が証明を出さない場合の扱いが市区町村でどうなるかは、この記事では確かめられていません。実際に証明書がもらえない状況になったら、墓地のある市区町村の窓口に、早めに尋ねるのが現実的です。申請先や必要書類の実例は、横浜市で墓じまいするときの改葬許可申請で確かめています。

困ったときの相談先

消費者ホットライン188

188は全国共通の電話番号で、お住まいの自治体の消費生活センター等の相談窓口につながります。消費者庁に直接つながるものではありません。消費者庁のページによると、通話中に郵便番号などを入力すると地域の窓口を案内する仕組みです。相談は無料ですが、窓口につながった時点から通話料がかかります。一部のIP電話などからは188を利用できないことがあり、その場合は地域の窓口に直接電話します。土日祝日は、自治体の窓口が閉まっているとき、国民生活センターが対応することがあると案内されています。

国民生活センターの助言は、離檀料に関して分からないことがあれば、この窓口へ相談するというものです。

法テラス

法テラス(日本司法支援センター)は、公式サイトで自らを「法律の総合案内所」と紹介しています。電話、メール、チャットで法制度や相談窓口を問い合わせでき、相談窓口の検索もできます。サポートダイヤルは0570-078374で、受付は平日9時から21時、土曜9時から17時です(2026-11-07 に公式サイトで確認)。

離檀料を払う義務があるか、規約の定めをどう読むか、といった法律の判断が知りたいときは、弁護士などに尋ねる内容になります。法テラスのサイトには弁護士・司法書士による無料法律相談の案内もありますが、利用できる条件は、この記事では確かめていません。利用する前に、法テラスの案内ページで条件を開いて確かめてください。

寺の側との話し合いの窓口

寄稿が挙げている、檀家総代や同じ寺院の檀信徒である親族への確認も、寺との話し合いを進めるうえでの身近な手がかりです。宗派の本山などの窓口については、公的な資料で確かめられなかったので、この記事では扱いません。

確かめられなかったこと

次にすること

  1. 墓地の使用許可書、契約書、規約を探し、離檀や返還について書かれているかを確かめる
  2. 寺に墓じまいを伝える前に、親族で話し合い、寺に残る親族がいるかを確かめる
  3. 離檀料を求められたら、その場で決めずに、根拠と内訳を尋ねる
  4. 納得できない額のときは、檀家総代や寺と付き合いのある親族に確かめつつ、消費者ホットライン188に相談する
  5. 法律の判断が必要なときは、法テラスの案内から弁護士などへ

全体の順番は墓じまいの手順を7段階でに、墓じまいの後に遺骨をどこへ納めるかは墓じまいの後の遺骨の行き先にまとめています。月刊「国民生活」の寄稿は、永代供養墓や合祀墓などに納める場合、新しく墓を建てるより費用がかかることもあると指摘しています。行き先の費用は、離檀料とは別に見積もりで確かめます。

出典(確かめた日)