墓じまいの手順を7段階で|親族の同意から改葬許可、墓石の撤去までの順番と日数

この記事のまとめ

  • 墓じまいで遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すには、現在の墓地がある市区町村長の改葬許可が要り、許可なしで行うと法律の罰則(2万円以下の罰金・拘留・科料)の対象になります。
  • 順番は、親族の話し合い、墓地管理者への連絡、改葬先の確保、申請書の用意、改葬許可の申請、遺骨の取り出しと納骨、墓石の撤去の7段階です。
  • 改葬許可証の手数料は、横浜市・堺市・長野市は無料、尼崎市は発行無料、豊中市は郵送で1通450円と、市ごとに違います。
  • 改葬許可証が出るまでの日数は、豊中市と長野市が約1週間、尼崎市が2〜3週間で、書類に不備があると長野市は1か月ほどかかると案内しています。
  • 離檀料に明確な基準はなく、国民生活センターは、納得できない額は寺と話し合い、困ったときは消費者ホットライン188へ相談するよう呼びかけています。

墓じまいは、墓石を片付けるだけの手続きではありません。遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すなら、いまの墓地がある市区町村長から「改葬許可」を受けるのが法律上の決まりです。順番は、親族の話し合い、墓地の管理者への連絡、改葬先の確保、申請書の用意、改葬許可の申請、遺骨の取り出しと納骨、墓石の撤去の7段階です。改葬許可証が出るまでは、日数を公式に案内している3市(長野市・尼崎市・豊中市)で約1週間から2〜3週間でした。

墓じまいの全体像と7段階の順番

法律でいう「改葬」は、埋葬した遺体を他の墳墓に移すこと、または埋蔵・収蔵した焼骨を他の墳墓や納骨堂に移すことです(墓地、埋葬等に関する法律第2条第3項)。改葬を行おうとする者は、市町村長(特別区の区長を含む)の許可を受けなければならず(第5条)、許可は遺骨が今ある場所の市町村長が出します。許可を受けずに改葬すると、第21条により2万円以下の罰金・拘留・科料の対象です。

墓じまいの手順を、この記事では次の7段階に分けます。各段階は下の見出しに対応しています。

段階 やること 相手
1 親族に話して、誰が手続きをするか決める 親族・墓地使用者
2 墓地の管理者に意向を伝え、契約や規約を確かめる 寺院・霊園
3 遺骨の行き先(改葬先)を決め、受入証明書をもらう 改葬先の管理者
4 改葬許可申請書を書き、埋蔵証明を受ける 現在の墓地の管理者
5 市区町村に申請して、改葬許可証を受け取る 市区町村の窓口
6 遺骨を取り出し、改葬先に許可証を渡して納骨する 両方の墓地の管理者
7 墓石を撤去し、墓地を返す 石材店・墓地の管理者

尼崎市の手引きでは、改葬先の確保、申請書の入手と記入、現墓地の管理者の証明、市への郵送での申請、許可証の受け取り、遺骨の取り出し、改葬先への引き渡しの順に書かれています。長野市の案内も、申請書の記入、現墓地の管理者の埋蔵・収蔵証明、改葬先の受入証明を受けてから申請し、許可証を受け取って遺骨を取り出し、改葬先に許可証を出して納骨する流れです。

段階1:親族に話して、手続きをする人を決める

最初にすることは、親族との話し合いです。国民生活センターの見守り新鮮情報(第424号)は、墓じまいは寺などが発行する埋葬証明書などが要るため勝手にはできないとし、家族や親族などを交えてよく話し合うよう助言しています。

手続きの上で大事なのは「墓地使用者」が誰かです。施行規則第2条は、申請者が墓地使用者等以外の場合、墓地使用者等の改葬についての承諾書(またはこれに対抗できる裁判の謄本など)を添付するよう求めています。長野市も、現在の墓地の使用者と申請者が違う場合は承諾書が要ると案内し、横浜市は墓地使用者の委任状または承諾書が要るとしています。尼崎市は、承諾書の様式は自由で、使用者が押印したものが必要だとし、使用者の死亡などで承諾書が作れない場合は市に相談するよう案内しています。

この段階で決めておくと後が楽になることは次のとおりです。

遺骨の行き先の選び方は、別の記事で詳しく扱う予定です。

段階2:墓地の管理者に伝え、契約と規約を確かめる

墓地が寺院にある場合は寺、公営や民営の霊園にある場合は管理事務所が、墓地の管理者です。後の段階で「埋蔵証明」を書いてもらう相手なので、早めに意向を伝えます。

ここで確かめたいのは次の点です。

離檀料について、国民生活センターは次のように伝えています。

国民生活センターのまとめ(2026年7月31日更新)では、PIO-NETに登録された墓の相談は、2023年度に1,046件、2024年度に1,018件、2025年度に1,077件でした。最近の事例には、菩提寺に墓じまいを頼んだら高額な離檀料を求められ、規約などの定めもなく根拠が分からないという相談が載っています。離檀料の相場は、公的な資料では示されていません。金額に納得できないときは、寺と話し合い、分からないことは188に相談する流れになります。

月刊「国民生活」2025年12月号の寄稿(公益社団法人全日本墓園協会の専務理事による)は、離檀料の求めには、使用者が長年連絡をせず半ば放置していた墓を寺が管理し続けてきたところへ、突然墓じまいを申し込まれたことへの感情的な行き違いが元になっている例も珍しくないと述べています。払えない額のときは、寺との話し合いで離檀料の根拠や額を尋ねること、親族が檀信徒として残る場合はその親族の立場にも影響することにも触れています。寄稿者個人の見解を含む文章なので、判断の材料の一つとして読むのがよいでしょう。

段階3:遺骨の行き先を決め、受入証明書をもらう

改葬許可の申請は、行き先が決まっていないとできません。長野市は「改葬先が決まっていませんが、事前に申請できますか」という質問に「できません」と答え、尼崎市も改葬先が決まっていない場合は申請できないとしています。

行き先が決まったら、改葬先の管理者に「受入証明書」を書いてもらいます。長野市は、永代使用許可証や墓地使用権利証の写しでも受け入れ可能だと分かるものであればよいとしています。豊中市は、使用許可書や契約書など、改葬先の受入内容が分かる書類があれば添付するよう案内しています。

遺骨が複数ある場合、長野市は故人1人につき1通の証明書が必要で、「焼骨等一覧」を付ければ1通にまとめられるとしています。

行き先ごとの費用は、公的な資料に相場が示されていません。候補の寺院・霊園の料金表や見積もりで比べます。

段階4:改葬許可申請書を書き、埋蔵証明を受ける

申請書の様式は市区町村ごとに用意されていて、窓口や市のホームページで手に入ります。施行規則第2条の記載事項は次のとおりです。

死亡者の情報が分からない場合、長野市は「不明」または「不詳」と書くよう案内し、尼崎市も古い遺骨は「不明」と記入するとしています。

添付するのは、現在の墓地や納骨堂の管理者が作った、埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面(埋蔵証明)です。横浜市は、通常は改葬許可申請書の所定の欄に墓地の管理者が証明し、管理者が定める様式でもよいとしています。埋蔵証明の発行に手数料がかかる場合があるとも案内しています。堺市のページには、現在納骨している墓地・寺などの証明印がなければ申請できないと書かれています。

段階5:市区町村に申請して、改葬許可証を受け取る

申請先は、いまの遺骨がある墓地のある市区町村です。引っ越し先や改葬先の市ではありません。長野市は、現在埋葬されている墓地が長野市以外なら長野市には申請できず、その墓地のある自治体に尋ねるよう案内しています。

公式ページで確かめた5市を比べます(2026-11-07 時点)。

市 申請先 申請方法 手数料 発行までの日数
横浜市 墓地のある区の区役所戸籍課 窓口・郵送 無料 ページに記載なし
堺市 堺市立斎場 窓口(郵送不可と案内) 無料 ページに記載なし
長野市 市民窓口課戸籍担当 窓口・郵送・電子申請 無料 1週間ほど。不備があると1か月ほど
尼崎市 生活衛生課(市営墓園は斎場管理事務所) 郵送 発行無料(返信用封筒の切手は必要) 2〜3週間程度
豊中市 福祉部地域共生課(郵送の案内) 郵送 1通450円×人数分(定額小為替) 約1週間。不備があればさらに

見てのとおり、申請先の課も、郵送の可否も、手数料も、日数も市ごとに違います。豊中市の手数料は郵送手続きの案内にある金額で、窓口申請の金額はこの記事では確かめていません。申請の前に、墓地のある市区町村の公式ページで最新の内容を開いてください。

尼崎市は日数に余裕をもって申請するよう、長野市も不備などがあると1か月ほどかかることがあるので余裕を持つよう案内しています。豊中市も、書類に不備があればさらに時間がかかるとしています。

申請書1枚で複数の遺骨を扱えるかも市で違います。堺市は1枚で5体まで、尼崎市は複数体用の様式と別紙を用意しています。

発行された改葬許可証は、次の段階で両方の墓地の管理者に見せます。墓地の管理者は、改葬許可証を受け取った後でなければ、焼骨を埋蔵・収蔵させてはならないと法律(第14条)が定めています。

段階6:遺骨を取り出し、改葬先に許可証を渡す

許可証が手元に届いたら、現在の墓地の管理者に許可証を見せて遺骨を取り出します。長野市は、このとき許可証を返してもらうよう案内し、横浜市も、許可証は新しい墓地で必要になるので渡さないとしています。そのあと、改葬先の管理者に許可証を提出して納骨します。尼崎市は、改葬先に事前に確認するよう呼びかけています。

月刊「国民生活」の寄稿は、改葬の手続きが終わったあとの墓に「抜魂式」を行ってから墓石を撤去すると説明しています。法要を行うかどうかは信仰や寺との関係で決めることで、この記事の出典の法令には出てきません。寺に頼む場合のお布施の額は、公的な資料にないので、寺に尋ねて決めます。

改葬許可が要らない場合

長野市の案内には、次の例が載っています。

自宅の敷地や裏山にある個人墓地をやめる場合は、改葬許可に加えて墓地の廃止許可が要ると、長野市は案内しています。

段階7:墓石を撤去して、墓地を返す

改葬許可は遺骨の移動に対する許可で、墓石の処分や墓地の使用権をなくすことを許可するものではないと、長野市は明記しています。墓石には所有権、墓地には契約に基づく使用権があり、これらの処分は家庭裁判所等の手続きが要る場合があるとも案内しています。

月刊「国民生活」の寄稿は、残った墓石の撤去は使用者の「現状回復義務」とされているとし、その施工を寺に出入りする石材店に任せると、高い施工費を請求されることもありうると述べています。出入りの石材店がない共同墓地などでは、地元の石材店や、改葬先での納骨の施工を頼む石材店に撤去を委託する方法も挙げています。撤去費用は公的な資料に目安がないため、複数の見積もりで比べます。

墓地を管理者に返すときの手続きや、永代使用料の扱いは、この記事では確かめていません。段階2で確かめた契約と規約に沿って進めます。

日数と費用の見通し

公的な資料で確かめられた日数と費用は、次のとおりです。

項目 確かめられたこと 出典
改葬許可の手数料 横浜市・堺市・長野市は無料、尼崎市は発行無料、豊中市は郵送で1通450円 各市の公式ページ
改葬許可証の発行日数 約1週間(豊中市・長野市)、2〜3週間(尼崎市)、不備があれば1か月ほど(長野市) 各市の公式ページ
離檀料 基準はない。300万円・700万円を求められた相談事例がある 国民生活センター
無縁墳墓の改葬 事前調査を含め、おおむね1年(長野市の案内) 長野市
離檀料の相場、墓石の撤去費用、改葬先の費用、法要のお布施 公的な資料に目安なし。料金表や見積もりで比べる -

親族の話し合いから墓石の撤去まで全体で何日かかるかは、公的な資料に示されていません。許可証の発行までは数日から数週間、そのほかの段階は親族の都合や寺・石材店の日程で決まります。

次にすること

  1. 墓地使用者(名義人)が誰か、使用許可書や契約書で確かめる
  2. 親族に墓じまいの考えを伝え、手続きをする人と、遺骨の行き先の希望を話し合う
  3. 墓地のある市区町村の公式ページで、改葬許可の申請先・必要書類・手数料・日数を開いて確かめる
  4. 墓地の管理者に意向を伝え、規約と離檀料の有無を確かめる(金額に納得できないときは、消費者ホットライン188)

この窓口では、市区町村ごとの改葬許可の申請先・書類・手数料も順にまとめていきます。

出典(確かめた日)